スモーキークォーツ

クォーツの中で、茶色~黒色のものがスモーキークォーツと呼ばれます。

和名でいうと煙水晶。焚き火の煙を通して太陽を見たときのイメージでそう名づけられたそうです。

水晶の成分であるケイ素の一部がアルミニウムに置き換わっていて、さらにそこに放射線が当たって電子が吹っ飛ばされると、特定の色が吸収されるようになり、このような色になります。また、このような仕組みで発色している天然石は、光や熱の影響を受けて、変色や褪色を生じることがあるようです。

スモーキークォーツの評価基準

スモーキークォーツを評価するときは、まず色にムラがないかどうかを見ます。ムラがあっても、それが山型が連なっているものだったりすると、ファントムと呼ばれる成長の名残りですので良いのですが、そうではなく美しさが感じられないものだと評価がガクンと下がってしまいます。

色合いや色の濃さは、できるだけ灰や黒を感じない茶色で、色の濃いものが好まれます。ただしスモーキークォーツの場合、色合いや色の濃さは好みだと思うのでそれほど気にしなくて良いです。

それよりも大事なのは透明感です。ちゃんと透き通るような透明感のあるものを選びましょう。そのためにはちゃんと光に透かすとか、至近距離で見るとか、石の中をルーペで見るとかっていうことを徹底してください。色の濃いものだと一見、欠点がないように見えるのに、ルーペでよく見ると内包物がいっぱい見えるものもありますので注意してください。

また、意外と注目してほしいのは産地です。たとえばスイス産は、昔はシャンデリアに使われていたらしく、他の産地よりも色が明るくて透明度の高いもの(つまり薄く感じられる)が評価されます。私もスイス産のスモーキークォーツを衝動買いしたことがありますが、それは少し色にムラがあるけど透明度が高く、他の産地のものよりも綺麗だと感じました。

無処理石が好きな方はご注意を

天然で採れるスモーキークォーツは良質のものが減っており、現在、市場に出回っているものは、潜在的にアルミニウムイオンを含む水晶にガンマ線を照射して、人為的にスモーキークォーツにしたものが多いそうです。

これは、もし放射線が照射される環境があれば、天然状態でもスモーキークォーツになっていたと考えられることから、人為的にガンマ線を照射してもOKと見なされます。つまり販売するときに、『人為的照射』とか『放射線照射』などと書かなくても『天然スモーキークォーツ』で販売しても良いということです。というか、販売しても良いとかの問題ではなく、『照射』などとは書かずに販売されるのが当たり前です。

ですので、どうしても無処理石にこだわりたいという方はご注意ください。

スモーキークォーツのスペック

英名:Smoky Quartz
和名:煙水晶
成分:二酸化ケイ素
色:茶褐色
透明度:透明
結晶系:六方晶系(三方晶系)
モース硬度:7
比重:2.65
屈折率:1.544~1.553
複屈折率:0.009
多色性:弱い二色性
偏向性:あり

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