個人的に、サファイアは硬さが重要な要素だと思う
サファイアの魅力は、深い鮮やかな色と強くてシャープな輝きを併せ持つことです。その要因として最も重要なのは、硬度の高さじゃないかと僕は思っています。
サファイアは鉱物名がコランダムといって、これはルビーと同じです。ルビーとサファイアの違いは、色が赤いか赤くないか、なんですね。そのコランダムという鉱物はモース硬度が9で、これは最大値が10なので、かなり硬いということがお分かりいただけると思います。
モース硬度というのは、石同士をこすり合わせたとき、どちらに傷がつくかで決めたもの。つまり傷つきやすさです。これは言い換えると、磨くときの硬さといって良いでしょう。宝石(ルース)というのは、石ころを拾ってきて、それを光り輝くように研磨したものです。この研磨するときに、柔らかい石だと角が丸くなってしまい、輝きが損なわれてしまうんですね。硬度の高いサファイアだと、角が尖るので、しっかりとシャープに輝くんです。
また、硬度の高さというのは、石の色にも少なからず影響を与えるんじゃないでしょうか。角というか辺がシャープに研磨できることで、それだけ石の中に光がしっかりと入り、鮮やかさが増すと思います。
サファイアのカラーバリエーション
サファイアは、豊富なカラーバリエーションも魅力です。サファイアというと青い宝石のイメージが強いのですが、ブルー以外にも、ピンク、パープル、オレンジ、ブラウン、イエロー、グリーン、ブラック、ホワイト(無色)……と、いろんな色があります。
たまにレッドサファイアなるものが売られていることさえあります。サファイアはルビーと同じ鉱物(コランダム)で、違いは色が赤いか赤くないかなので、基本的にサファイアに赤いものは存在しません。ですが、ルビーの赤とは違うけど、これって赤って言って良いよなぁというときがあります。例えば、イメージしにくいかもしれませんが、アンデシンやレッドインペリアルトパーズの赤はルビーとは言い難い色合いですが、赤色の宝石に分類されています。恐らくこのような色合いのときに、レッドサファイアと名づけられるのだと思います。
で、これだけ色が豊富なサファイアですが、実は純粋なサファイア(というかコランダム)は無色だと言われています。実はサファイアだけでなく、ほとんどの石がそうなのですが、成分に不純物が含まれることで色がつくんですね。例えばアルミニウムの代わりに0.5~1%程度クロムが含まれることで赤くなり(ルビー)、クロムではなく鉄とチタンが入ることで青く見えるようになります。
サファイアの評価基準
サファイアの評価をするポイントとしては、まず色を見ます。単純に人気の高い色があって、ブルーはもちろんピンクや、パパラチャ(パパラチア)と呼ばれるピンクとオレンジが混ざった色合いのものは特に人気があります。そしてその中でも色が濃くて鮮やかなものが高く評価されます。
次に見るのは石の中の様子です。ルーペで見てインクルージョンが少なく、曇りのない透き通ったものを選びましょう。そして石を揺らして光を当てたり外したりします。そうすることで石の表面に当たった光が反射するだけでなく、石の中に光が入ることで石の中から輝きが繰り出される様子が確認できます。キラキラが石の奥底からどんどん浮き出してくるような感覚のあるものが高品質です。
また、石の中に光が入ったときの色の様子も見てください。光が入っても色があまり薄くならずにしっかりとした彩りのものを選ぶと良いでしょう。
そしてルーペで見るときには表面のエッジ(辺)も見てください。肉眼では分からないくらい細かい傷があったり、わずかに尖っておらず丸まっていることがあります。これがシャープなものほどよく輝きます。
あとは感覚の問題になってくるのですが、高級感が感じられるもの。サファイアは気軽に身に着けるというよりは、パーティーなど特別なシーンで身に着ける宝石です。だからどんなに綺麗な色合いでも、何となく軽く感じられたりカジュアルに感じられるものは避けることをおすすめします。
とはいえ、そういう石は値段が高いので、あえてカジュアルなものを選んで質の良いものをリーズナブルに手に入れる、というのもアリです。
サファイアのスペック
英名:Sapphire
和名:青玉、鋼玉(鋼玉はコランダムの和名)
成分:Al2O3
色:青、緑、黄、ピンク、紫、オレンジ、茶、灰、黒、無色など(赤はルビー)
透明度:透明~不透明
結晶系:六方晶系(三方晶系)
モース硬度:9
比重:4.00
屈折率:1.76~1.77
複屈折率:0.008
多色性:強い二色性
偏光性:あり