鑑定書と鑑別書の違い(基本的な知識ですが、かなり重要なお話です)

混同されがちですが、鑑定書と鑑別書は違います。

鑑定書はダイヤモンドのグレードが記載されたもので、鑑別書はそれが何という石かが記載されたものです。

骨董品などのお宝について、価値や本物かどうかを見極めたりするのにも「鑑定」という言葉が使われるので、全部「鑑定」だと思われがちですが、宝石の世界では「鑑定」は基本的にダイヤモンドだけに使われる言葉です。

宝石屋さんのサイトでさえダイヤモンド以外の宝石に「鑑定書付き」と書いてあったりしますけど、僕はあれはダメだと思っています。より多くの人に分かりやすくするために、あえて使っているのかもしれませんが、鑑定書と鑑別書の違いなんて初歩の初歩。プロとして絶対に間違えたり混同したりしてはいけないし、お客様に誤った知識を与えたり混同させちゃったりしたらいけないと思うんですよね。こんな基本的なことで、もしお客様にツッコまれたりしたら恥だと思ってほしいです。

鑑定書と鑑別書の違いは大事な話なので、もうちょっと掘り下げます

鑑定書にはダイヤモンドのグレードが記載されますが、鑑別書に石のグレードが記載されることはありません。だから鑑別書が付いているからといって安心してはいけません。例えばルビーを買うとして、鑑別書はその石がルビーであることを証明するものでしかありません。ルビーの品質にはまったく関係なく、ただただルビーであることを証明しているだけなんです。

ただ、鉛ガラスの充填処理がされてますよとか、人工的に作られたものではなく天然のルビーですよとか、たぶん加熱されていると思いますよ(特別な分析をしないと分からない場合、曖昧に書いてあります)といったことは書かれているので、品質にまったく触れられていないというわけではありません。また、非加熱や無処理の分析書が付いていたら、少なくとも同じ品質の加熱処理された石よりは価値があることの証明になります。とはいえ、色のグレードとかインクルージョンのグレードについては書かれていないので、鑑別書や分析書が付いているからといって必ずしも品質が高いとはいえません。

一方、ダイヤモンドには4Cと呼ばれるグレードが細かく設定されていて、鑑定書にはグレードが記載されていますので、品質の証明になります。ちなみにダイヤモンドの場合でも、ダイヤモンドであることが証明されているだけでグレードが記載されていない場合は、鑑別書になります。

以上のような鑑定書と鑑別書の違いは結構、重要なことで、要するにダイヤモンド以外の石は、お店や業者が独自の知見で品質を評価して、値段をつけて販売しているということです。決まりがなくて曖昧なんです。

だから宝石店は、石の品質をどういう視点でどう評価しているかを明確にすべきだと思います。で、宝石を購入するときは、ちゃんと宝石の評価を表明している店で買った方が良いと思います。

鑑別書は品質を証明するものではないということを書いてきましたが、だからこそ鑑別書くらいはちゃんと付けてくれるお店を選んでください。できれば追加料金を支払えば中央宝石研究所の鑑別書を付けてくれるお店がオススメです。

(無料で信頼度の低い鑑別機関の鑑別書を付けてくれるより、有料でも中央宝石研究所の鑑別書を付けてくれる方が僕は嬉しいです。ちなみに僕の場合、中央宝石研究所の鑑別書を有料で付けてくれるお店で、鑑別書を付けずに購入することが多いです)

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