ジュエリー店とパワーストーン店の違い

ジュエリー店とパワーストーン店の違いって何だと思いますか?

ジュエリー店は宝飾店とか宝石屋さんと言い換えても良いですし、パワーストーン店は天然石屋さんとかアクセサリー店と言い換えても良いです。両者の違いって何なのでしょう? 一番大きな違いは?

販売している商品が違う。パワーストーン店は数珠状のブレスレットからライトなジュエリーまでがメインで、ジュエリー店はもっと高級な宝石、ジュエリー。販売している商品の価格帯が違う。ターゲットとする客層が違う。お店の雰囲気やたたずまいが違う。ジュエリー店は高級感があってラグジュアリー。店員さんがフォーマルな服装。一方、パワーストーン店は気軽に入れる雰囲気で、親しみやすい。

……なんてイメージでしょうか。

どれも正解といえますが、パワーストーン店とジュエリー店の両方で働いた経験のある僕が最も違うと感じるのは、そもそもの文化が違うということです。

最近はジュエリー店でも数珠状のブレスレットを販売していたり、パワーストーン店で少し高級な宝石を販売していたり、国際宝飾展にパワーストーン店が出展していたりして、その垣根が少しずつなくなってきているように見えますが、実際にはかなり高い壁があるように感じます。正直なところ、ジュエリー店はパワーストーン店のことを見下しています。パワーストーン店なんかとは格が違うと思っています。一方、パワーストーン店は、価格帯や商品のラインナップは違えど同じ宝石を取り扱っている仲間と思っているように感じます。そのためジュエリーの展示会にはパワーストーンの業者が数多く参加していますが、パワーストーンや天然石の展示会にジュエリーの業者が出展している割合はまだまだ少ないように思います。

でも僕が言いたいのは、(同じ業界内で)格の違いがあるとか仲間意識があるとかっていう話ではありません。同じ鉱物や天然石を取り扱っているため同じカテゴリに分類されがちですが、まったく別の業種・業界だと考えています。

というのも、根本的な考え方が違うのです。

ジュエリーというのはヨーロッパから入ってきたもので、輝きを得るために宝石を研磨し、平らな面をいくつも作っていきます。基本的に石に穴を開けるということはなく、貴金属で台座を作って石を乗せ、爪で留めます。そのためいつでも石を外してリフォームすることができます。石には永遠性があり、子や孫に受け継いだり、大切な人に贈ったり、リサイクルをしたりするという考えが強いです。金などの貴金属は溶かして変形することができるため、デザインやファッション性、芸術性が強調されます。

一方、パワーストーンは中国から入ってきたもので、石には面を作らず丸く研磨。石に穴を開けてゴムやヒモ、ワイヤーを通して数珠つなぎにします。そのため石同士が当たって傷がつきやすいですし、ゴムやワイヤーが切れたら石もお役を果たしたと捉え、土に還すという考えがあります。また、元が数珠なだけに仏教や占い、スピリチュアルとの結びつきが強く、デザインやファッション性よりも石が持つ神秘性やパワーが強調されます。

こういった考えの違いがありますので、ジュエリー店とパワーストーン店では商品やお客様に対するスタンスやアプローチが異なります。ジュエリー店は一つの商品を長く使ってもらおうという観点から、より高いものを買わせようとしますし、商品のリフォームにも積極的です。一方のパワーストーン店は、元々値段が安いということもあって、いかにリピート購入してもらうかを重視します。そのためジュエリー店に比べリフォームに消極的で、ゴムが切れたら石は綺麗なままでも新しいものを買い替えることを勧めようとします。

そもそもの文化や考え方が違うから、相容れないのは当たり前。扱う商品や価格帯、顧客ターゲット、経営戦略だって当然、異なります。ジュエリー店とパワーストーン店は、デパートとディスカウントストアくらい違う業態なのです。ほら、デパートだってディスカウントストアと一緒くたにされると嫌がるでしょ?

で、このことを念頭に置いてお店に行くと、色々見えてくるんじゃないかなと思います。

例えば鑑別書やソーティングシートに対する考え方がまったく違います。ジュエリー店では鑑別書があるかないかで売上も変わってきますし、宝石を長く愛用していただく観点からも、客観的な鑑別機関で作成したものを重視します。でもパワーストーン店では鑑別書、ソーティングシートへの意識があまり強くなく、高級な宝石でも鑑別書がなかったり、あっても保管状態が適当で商品が売れたときに慌てて探して結局なかったので後日宅配便でお届けしますってことになったり、マイナーな鑑別機関の鑑別書だったり、時には店独自の保証書しか付いていなかったりします。

このように、かなり違いがあるので、個人的には、実はジュエリー店とパワーストーン店って、あまり競合にならないんじゃないかと思っています。だって商品も違うし価格帯も顧客ターゲットも経営戦略も違うんですから。

なので売上が厳しいからってジュエリー店でパワーストーンを取り扱うのはあまり賛成できませんし、やはりジュエリーはジュエリー店で、パワーストーンはパワーストーン店で買うべきで、でもたまにジュエリー店のように見えるパワーストーン店もあったりするので、その判断基準として、どちらの文化を採用しているかを見れば良いんじゃないかと思う次第です。

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