僕は元々、宝石なんてものには、まったく興味のない人間でした。ウェブショップの仕事がしたいと思っていて、たまたま入社したのがジュエリー屋さんでした。毎日、指輪やネックレス、ペンダントトップなどを10倍ルーペを使って穴が開くくらい見て、ひたすら商品説明を書くという仕事をしていました。
毎日毎日、ジュエリーを眺めていると、扱っている商品に愛着が湧くもので、指輪やネックレス、ペンダントトップなどには興味を持ちませんでしたが、ルースを集め始めました。ルースというのは指輪やペンダントに付いているダイヤモンドやルビーやエメラルドといった宝石を、指輪やペンダントから外したものです。裸石(らせき)ともいいます。
よく「ルースを集めてどうするの?」とか「ルースって指輪とかペンダントとか身に着けられるようにして初めて意味のあるものでしょ?」とか言われますが、そんなことはありません。宝石を指輪とかペンダントとかに取り付けると、枠とか台座とか爪とかが必要になります。でも宝石を枠にはめ込んだり、台座の上に置いたり、爪で留めたりすると、多少なりとも光が遮られます。
宝石というのは、石に光が入って、石の中で光が屈折したり反射したりすることで美しく見えるように、人間の手で研磨されたものです。ダイヤモンドでもルビーでも、光がなければ魅力は失われます。そう考えると、光を遮るもののない裸石の状態が、宝石にとって最も美しいと思うのです。
宝石をルースの状態で愉しむことをお薦めしたい。これもこのサイトを始めた理由です。