なぜルビーは「宝石の女王」なのか
宝石を集めていて、「何故か赤い石が少ないなぁ」と思ったことがあります。で、赤い宝石を探しに展示会に行きました。ところが、なかなか良い石が見つかりません。
ルビーは「宝石の女王」と呼ばれますが、その理由はここにあります。
赤い宝石って少ないんですよ。
ピンク混じりの赤やオレンジ混じりの赤なら見つかります。でもピンクやオレンジを感じない純粋な赤は、宝石にはなかなかありません。だからルビーは「宝石の女王」なんです。
もちろん硬度が高いっていうのも大きいです。他の宝石より希少ということも重要な要素です。しかしルビーが女王と呼ばれるためには、赤い色という要素は絶対に欠かせません。
というのも、古来より人間は赤い色に憧れを持っているからです。宝石でなくても赤い色のものって自然界には案外少ないんですよね。それでいて人間には赤い血が流れており、とても身近な存在でもあります。血は命ですから、人間が赤に魅了され、赤を渇望するのは当然といえるでしょう。
ルビーとサファイアは同じ石?
実はルビーはまったく不純物がなかったら無色になります。ごく微量のクロムが成分として含まれる場合のみ赤い色になるのです。そのときのクロムの含有量は2%程度と言われています。
でも、赤以外のルビーって見たことないですよね。それは何故でしょうか。
実は赤以外の色のものはサファイアと呼ばれます。ルビーとサファイアは同じコランダムという鉱物なんです。赤だけがルビーと呼ばれ、赤以外の色は青でも緑でも黄色でもピンクでもオレンジでもすべてサファイアと呼ばれます。
「同じ石なのに名前が違うの!?」と驚かれるかもしれませんが、宝石の世界では結構あります。例えば同じクォーツという宝石でも無色のものは水晶と呼ばれ、紫色のものはアメジスト、淡黄色から茶色がかったオレンジ色のものはシトリンと呼ばれています。昔は成分分析なんてできなかったので、違う種類の石だと思われていたのです。
いずれにしても同じ石なのに赤い色だけがルビーと呼ばれ、特別扱いされているんですね。どんだけ赤が特別視されているのかってことが分かりますよね。
最も高く評価されるのは鳩の血の色
ひと口に赤といっても色んな赤がありますが、ルビーで最も高く評価されているのは「ピジョンブラッド」と呼ばれる鮮やかな赤い色の石です。
ピジョンブラッドとは鳩の血のこと。なぜ鳩なのかは分かりませんが、もしかすると鳩は旧約聖書に出てくる平和の象徴だからなのかもしれません。
ちなみにピジョンブラッドより褐色がかったものはビーフブラッド(牛の血)と呼ばれています。
ピジョンブラッドがどういう色かというと、我々日本人が想像する赤よりも黒っぽい色です。といっても分かりにくいですよね。ピジョンブラッドという名前の通り血の色を思い浮かべていただくと良いかもしれません。日の丸なんかの色より黒っぽいイメージがあるでしょ?
赤珊瑚(サンゴ)の最高峰は血赤珊瑚と呼ばれる色のものなのですが、宝石の世界では血のように少し黒っぽい赤が最高に評価される色なのです。
ルビーの評価基準
ルビーの評価の基準はずばり「色」です。
そりゃそうですよね。ここまでほぼ色の話しかしていないのですから。そのくらいやっぱりルビーは赤いということがとても重要なんです。
ピンクっぽかったり、紫が入ると評価が下がります。ピジョンブラッドは黒っぽい赤と言いましたが、黒くなりすぎてもダメです。
もちろん内包物が少なく傷のないもの、大きなものほど評価は高くなります。先ほど書いたように、ルビーは不純物が何もなかったらそもそも赤くないので、内包物の少ない石はとても希少です。
また、ルビーは通常、加熱処理によって美しさが引き出されているので、非加熱のものは高く評価されます。
大きな石が取れないので1ct以上のルビーは希少とされ、3ctを超えるものを探すのはかなり困難です。
産地としては何といってもミャンマーが有名です。最も品質の高いルビーを産出するのはミャンマーのモゴック鉱山で、モゴック産というだけでも値段が上がるといっても過言ではありません。
他にはベトナム、モザンビーク、タイ、カンボジアなどがルビーの産地として有名です。
──とまぁ色々書いていますが、最初に書いたように、色を重視すればOKです。
ルビーのスペック
英名:Ruby
和名:紅玉(こうぎょく)
成分:Al2O3
色:赤
透明度:透明
結晶系:三方晶系
モース硬度:9
比重:3.30
屈折率:3.97~4.05
複屈折率:0.018
多色性:二色性
偏光性:あり
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