ペリドット

誤解の多い石です

ペリドットはかなり勘違いされている宝石だと思います。

とくに色については、よく誤解されています。ほとんどの宝石の本で「オリーブのような色」と記載されているので、少し褐色っぽい黄色混じりの緑色と思われているんですが、これは正確ではありません。

実は、高く評価されるのは黄色の混じっていない緑色です。あるいは、最近、人気が高まっているのは少し青っぽいミントグリーン。決してオリーブのような緑色ではないんです。

確かにペリドットの多くは、ちょっと黄色みを感じます。一般的なペリドットはまさに「オリーブのような色」をしています。でもペリドットのトップカラーは深い緑色だということは覚えておきましょう。

安い石という誤解

また、ペリドットは石の性質上、あまり大粒の石が採れません。たくさんの小さな結晶が、岩の表面に密集している。というのがペリドットのよく見られる姿です。

だからパワーストーン店だと小粒のペリドットを袋詰めにしたさざれ石というのが安く販売されています。

それにペリドットは1~2ctくらいまでの大きさのルースなら、比較的安価で手に入るんですよね。そのためペリドットというと「安い石」と思われている方が多いかもしれません。

ところが5ctを超えると、途端に珍しくなり、値段がグンッと跳ね上がります。とくに10ctを超えるととても希少で、しかも黄色味のない緑色のものとなると、数十万円にもなります。

その他の魅力

あと、ペリドットって結構、魅力の詰まった石なんですよね。

よく言われるのは夜でも明るく存在感があるから「イブニング・エメラルド」とも呼ばれるという話。部屋の灯りを消してみたことのある人は、僕だけじゃないはず。実際、少量の光でもしっかり輝きます。

また、複屈折率が高いのも魅力的。複屈折っていうのは光が石の面に当たると複数に屈折する性質のことで、石を通して物を見ると二重に見えます。テーブル面から見ると裏側のカットの稜線がはっきり二重に見えるんですね。肉眼でもはっきり線が二重に見えます。だからその分、輝きとかモザイクが細かく複雑になるんですよね。

そういう姿も見てほしいです。

ただ、どっちも1ctを切るような小粒の石だと、ちゃんと楽しむことができないのが難点なんですよね~。とくに複屈折は、大粒であればあるほど楽しめる性質なので、ぜひ大粒を手に入れていただきたいです。高いけどね……

この他にも、隕石に含まれたものがあったりとか、その隕石由来のペリドットはまた違った特徴を持つものがあったりとか、結構、話の尽きない石です。

ペリドットの評価基準

というわけで、既に書きましたが、ペリドットの評価基準は色と大きさです。

できるだけ大粒で、黄色みや褐色を感じないものを選びましょう。ただ10ctクラスにならないと、黄色みは抜けないかも?

宝石全般に言えることですが、ある程度の大きさがないと、色がしっかり濃くならないんですよね。だからもしかしたら黄色みが抜けるんじゃなくて、色が濃くなることで黄色みを感じなくなっているだけかもしれません。ま、とにかくペリドットは黄色も褐色も感じない緑色のものを選んでください。

もしくはちょっと青みを感じるミントグリーンのものを。数年前から人気が上がってます。

あ、もちろん傷やインクルージョンの少ないものを選ぶこともお忘れなく。一番は色を最重視して、その上で傷や透明度をチェックしてください。

ペリドットのスペック

英名:Peridot
和名:橄欖石(かんらんせき)
成分:(Mg,Fe2+2[SiO4]
色:黄緑、緑、褐緑、褐色
透明度:透明
結晶系:斜方晶系
モース硬度:6.5~7
比重:3.34
屈折率:1.65~1.69
複屈折率:0.036
多色性:弱い三色性
偏光性:あり

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