エメラルド

言わずと知れたグリーンの宝石。グリーンの代名詞といっても過言ではなく、エメラルドグリーンという言葉があるくらい。紀元前何千年という昔から愛されてきた宝石で、クレオパトラもエメラルドが大好きだったとか。ものすごーくお高い宝石です。値段も人気もお高いです。

でもそんなにお高いのに、傷の多い石が多いです。また、ほとんどのエメラルドはオイル充填されています。そうしないと傷だらけ、穴だらけで、割れやすくなっちゃいます。

じゃあ何でそんな傷の多い宝石が、それほどまでありがたがられているの?と思うかもしれませんが、それは紀元前何千年という昔から愛されてきているという歴史が価値を高めているということと、それ以上に、傷があったとしても魅力的だからなんじゃないかなと思います。

傷以外のエメラルドの特徴を挙げていくと、コクがある、深みがある、とろみを感じる、気品がある、高貴、貫禄がある、大人の雰囲気、いかにも高そう、目力が半端ない、といった感じです。

宝石を表現するのに「目力が半端ない」というのも変な話ですが、何か、眺めていると、フリーズしちゃう印象があるんですよね。僕のイメージだと、メドゥーサに見つめられているような印象。石化しちゃう。

このあたりの魅力は、文字では伝わらないので、現品、それもとびきり質の良いものを、できれば手に取って、目の前で見てもらいたいです。

エメラルドとヒスイ

よく同じ緑色の宝石として比較されたり対にされたりするのはヒスイです。西洋ではエメラルドが愛され、東洋ではヒスイが愛されたみたいなことがよく言われます。

エメラルドとヒスイは、全然違う宝石なんですが、でも似ているところも多いです。どちらもコクがあって深みがあって、とろみがあって気品がある。高貴で貫禄があるし、大人の雰囲気いっぱい。いかにも高そうで目力が半端ない。……って、さっきと一緒ですね。

違うところを挙げたほうが良いかもしれません。エメラルドは透き通っているけど、ヒスイは透き通ってない(透き通ってないエメラルドもあるけど)。エメラルドはグリーンだけだけど、ヒスイはいろんな色がある。そもそも成分や結晶の形も違うから、硬度も違うし取れる産地も違います。

エメラルドはアクワマリンと同じ石

エメラルドは鉱物としてはベリルといって、アクワマリン(アクアマリン)とかと同じ石です。同じ石なのにグリーンベリルとかブルーベリルと呼ばない理由は、すごく簡単なことで、紀元前の古代から愛されてきている石ですので、別の石と思われていたから。何しろシャカやイエス・キリストが生まれるずっと前から愛されてきていて、当時は成分分析なんてできませんからね。

しかも同じベリルなのに、アクワマリンは割と産出するけど、エメラルドはなかなか手に入らない。エメラルドのグリーンの色は、その結晶の中に取り込まれたクロムという元素によってもたらされるのですが、ベリルにクロムが取り込まれるということはめったになく、珍しいことなんです。そりゃあ同じ石とは誰も思いません。

エメラルドの評価基準

エメラルドの評価基準は、色の鮮やかさと深さの両方を持っていること。普通、色が鮮やかになればなるほど軽い印象になりますので、鮮やかさと深さを併せ持つというのは、なかなか難しいことです。

色は黄色っぽいよりも、青寄りのグリーンが高く評価されます。青が混じると深みや鮮やかさが増しますが、黄色混じりだと茶色を感じてしまい、ちょっと冴えない印象になってしまいます。

で、あとは傷やインクルージョン(内包物)が少ないこと。とても稀少だから大粒は高評価。といったあたりを見ると良いと思います。

見れる人は、コク、とろみ、気品、高貴さ、貫禄、大人の雰囲気、眺めているとフリーズしちゃう、あるいは石の中に引き込まれそうになる、みたいなところも見てください。

エメラルドの似合う大人になりたい

エメラルドは大人になればなるほど似合う宝石です。若い人がエメラルドを着けても、何かしっくりこないんです。特に大粒のエメラルドは、指や首に皺がしっかり刻まれたくらい歳を取った人に似合います。

また、品のある人じゃないと似合いません。よぼよぼのおじいちゃん、おばあちゃんよりは、シャンとした紳士、淑女が似合います。

どうせ歳を取るなら、エメラルドの似合う爺様になりたい、というのが僕の願いです。

エメラルドのスペック

英名:Emerald
和名:翠玉、翠緑玉、緑柱石
成分:Al2Be3[Si6O18]
色:緑色
透明度:透明
結晶系:六方晶系
モース硬度:7.5~8
比重:2.68~2.78
屈折率:1.57~1.58
複屈折率:0.006
多色性:はっきりした二色性
偏光性:あり

タイトルとURLをコピーしました