ファントム

 水晶の中に水晶の結晶の形が白とか緑色とかで見えるものを『ファントム』と呼びます。

 何でこんなものが見えるのかというと、水晶は、一瞬でパッとできるのではなく、数年~数百年という長い時間をかけて、徐々に形成されていくからです。

 その形成過程において、一旦、成長が止まることがあるのです。そして成長が止まったときに、表面に不純物がくっついて、後に再び水晶が成長を始めるということがあるのです。そうすると、最終的にできた水晶の中には、かつて表面にくっついた不純物の姿が見えます。これが『ファントム』と呼ばれるものです。

 イメージとしては、氷を作るときに、一旦、冷凍庫から氷を取り出して、表面にチョコレートか何かを塗って、もう一度凍らせる、みたいな感じでしょうか。

 でもこのとき、以前の水晶の結晶そのものは残っていません。表面のチョコレートだけが残って、氷の姿は見当たりません。結晶がそのまま残っていたらクォーツ・イン・クォーツと呼ばれ、区別されます。

 で、そのファントムが形成される現象が、何度も繰り返し起こることがあります。そうするとファントムは、幾重にも層になるのです。この層が多ければ多いほど、そしてくっきりとしていればしているほど、高く評価されます。また、ファントムがくっきりと見えるためには、その水晶自体の透明度の高さも要求されます。

 ちなみに、ファントム(phantom)というのは“幻”とか“幽霊”とかいう意味です。だから幻影水晶と呼ばれることもあります。

 なお、ファントムというのは、主にパワーストーンの世界で用いられる呼称です。鉱物の世界では『山入り水晶』と呼ばれます。これは、水晶は基本的に先っぽが尖った錘の形に結晶されるので、山型の層ができるためです。

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